水分補給の重要性
水分は、私たちの体の約60%を占めており、生命活動を維持するために不可欠な役割を果たしています。水分が不足すると、以下のようなさまざまな問題が引き起こされます。
- 体温調節の機能低下: 体は汗をかくことで、その気化熱によって体温を下げています。水分が不足すると汗が出にくくなり、体内に熱がこもりやすくなります。これが熱中症の主な原因です。
- 脱水症状: 体内の水分量が5%失われると、脱水症状や熱中症の症状が現れ始め、10%失われると筋肉のけいれんや循環不全が起こり、20%失われると命に関わる危険な状態になります。
- 血液循環の悪化: 水分が不足すると血液が濃くなり、血流が悪くなります。これにより、栄養素や酸素が体内の細胞に行き渡りにくくなり、疲労感やだるさを引き起こします。また、心臓への負担が増加し、血栓ができやすくなるリスクも高まります。
- 老廃物の排出停滞: 体内の老廃物は水分によって排出されます。水分が不足すると老廃物が体内に蓄積され、体の不調につながります。
熱中症について
熱中症は、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなることで起こる、様々な症状の総称です。
熱中症の症状
熱中症の症状は、重症度によって以下のように分類されます。
- 軽度(I度):
- めまい、立ちくらみ、顔のほてり
- 筋肉痛、筋肉のけいれん(こむら返り)
- 大量の汗
- 中等度(II度):
- 頭痛、吐き気、嘔吐
- 倦怠感、虚脱感(体がだるい、ぼーっとする)
- 意識がもうろうとする
- 重度(III度):
- 意識障害(呼びかけに反応しない、返事がおかしい)
- けいれん、まっすぐ歩けない
- 体温が高い(40度近くになることも)
- 水分が自力で飲めない
熱中症の予防と水分補給のポイント
熱中症を予防するためには、こまめな水分補給が非常に重要です。
- 喉が渇く前に飲む: 喉の渇きを感じた時点ですでに体内の水分が1%程度失われていると言われています。喉が渇く前に、こまめに水分補給をすることが大切です。
- 水分と塩分を同時に補給する: 大量の汗をかくと、水分だけでなく塩分(ナトリウム)も失われます。水だけを大量に飲むと、体内の塩分濃度が薄まり「低ナトリウム血症」を引き起こす危険性があります。特に運動や作業で大量に汗をかいた場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで水分と塩分を同時に補給することが推奨されます。ただし、スポーツドリンクは糖分を多く含むため、飲みすぎには注意が必要です。
- 日常の水分補給の目安: 一般的に、成人が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約35mlと言われています。ただし、これは食事から摂取する水分も含めた量です。飲み物として摂取する目安は、1日あたり1.2リットルから1.5リットル程度が推奨されています。
- 特定の状況での注意:
- 就寝前と起床時: 就寝中にも大量の汗をかくため、寝る前と起床時にコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。
- 高齢者: 高齢者は体内の水分量が減少しても喉の渇きを感じにくいことがあります。意識的にこまめな水分補給を促すことが重要です。
熱中症が疑われる場合の応急処置
熱中症の症状が見られた場合は、速やかに以下の応急処置を行いましょう。
- 涼しい場所へ移動: 日陰やエアコンの効いた室内など、涼しい場所に移動させます。
- 体を冷やす: 衣服をゆるめ、体内にこもった熱を外に出します。首、脇の下、太ももの付け根など、動脈が通っている部分を氷や冷たいタオルで冷やすのが効果的です。
- 水分と塩分を補給: 意識がはっきりしている場合は、冷たい水やスポーツドリンク、経口補水液を少しずつ飲ませます。
- 救急車を呼ぶ: 意識がない、呼びかけに反応しない、自力で水分が飲めない、けいれんを起こしているなど、症状が重い場合は、すぐに救急車を呼びましょう。無理に水分を飲ませないように注意してください。


